植本一子『かなわない』 オードリー若林正恭『完全版 社会人大学人見知り学部 卒業見込』 岸見一郎・古賀史健『幸せになる勇気』 最近なんとなく手に取って読んだこの3冊が、立て続けに、今の私にとてもしっくりと響くものでした。(『幸せに~』を購入した…

依存症(東山彰良『ありきたりの痛み』)

「小説を書かなくてはならないのは、けっして幸せな精神状態ではない。アルコール依存症が幸せな状態じゃないのとおなじ意味で。」 東山彰良氏が『路傍』で大藪春彦賞を受賞したときの記念エッセイ『ありきたりの痛み』の中の一文である。 恋人と別れて、も…

心が動く(又吉直樹と星野源)

映画や音楽に涙が溢れて止まらない、みたいなことは私の中でしょっちゅう起こる。しかしこれが小説になると、なぜだかほとんどない。 そんな私が、読みながら思わず泣いてしまった。 又吉直樹著『火花』である。 「僕を嫌いな人達、笑わせてあげられなくて、…

かつて少女だった、すべての女たち(『ヴァージン・スーサイズ』)

『ゴッドファーザー』の監督フランシス・フォード・コッポラの娘、ソフィア・コッポラの初監督作品『ヴァージン・スーサイズ』。 オシャレである。音楽もファッションも、雰囲気も。 その底流を、一貫して“陰”が流れ続けている。 印象的なセリフがある。 映…

私の好きな男(望月峯太郎ー1人の中のギャグとシリアスー)

先の日記で“マンガ”についてお話ししたが、私には『二次元での好きな男ベスト3』というものが燦然と輝いて存在する。もう十年以上、それは変わっていない。 そのベスト3を、今回こちらで発表させていただこう。 『うる星やつら』の諸星あたる 『タッチ』の…

影響しあって、殺しあわない(坂元裕二『最高の離婚』)

連続ドラマ「最高の離婚」を拝見したとき、この“坂元裕二”さんという脚本家は若い方なのかなという印象を持った。 のちに、坂元氏がフジテレビ“月9”枠の伝説的連ドラ「東京ラブストーリー」の脚本を手掛けた大御所だと知り、私は改めて驚かされた。 その、…

私のマンガ遍歴(南Q太~宮崎夏次系)

(つづき) 引きこもり期。この時期が一番マンガを読んでいただろうか。量も、またジャンルでいっても。 南Q太、かわかみじゅんこなどの『フィーヤン』系。その冷めた目線、汚れた女、どうしようもない男、セックス。そこで垣間見た、すれっからしたオトナ…

私のマンガ遍歴(『きんぎょ注意報』~いくえみ綾)

“マンガ”に関しては、そこまで通じている方ではない。 特に最近は時折気になったものを読む程度で、巷で人気の「進撃の巨人」「キングダム」……、「ワンピース」でさえも今なにがどうなっているのかまったく知らない。「NANA」も「ハチクロ」もよくわから…

おそろしい客観(絲山秋子『薄情』)

「あまりものを言わずに暮らしていると客観性を失う。自分の都合で考える癖がつく。思うことと口に出して言ったらおかしいことの区別が曖昧になってくる。客観性が乏しくても嘘を言うことができないから余計に自己矛盾が増すのだ。自分の内面の身勝手さがじ…

恍惚の瞬間(ドストエフスキー)

ドストエフスキーの小説の中で、癲癇(てんかん)持ちである『白痴』のムイシュキン、『悪霊』のキリーロフの二人が、その発作前のほんの一瞬間、 「そのためには全生涯を投げ打ってもいいと思うほどの美と調和に満ちた瞬間」 がやってくると言っている。 こ…

少女マンガ的三島由紀夫 『音楽』

「昔は、三島由紀夫とドストエフスキーばかり読んでいました」 どんな本を読むの?と問われたときにそう答えると、相手からは、感心されるよりも、(本当にわかっているのかよ)という含みを持たせた「へぇ、すごいね(ニヤニヤ)」を返されることが多い。 …

「言葉の悲しみ、音楽による第七官界彷徨」

音楽に関してはずぶの素人である。 程度で言えば、ある曲を聴きながら「この音ってギター? ベース? キーボード?」と周囲の人間に聞いてしまうくらいだ。 そんな有り様であるから、あまり音楽について語ったりしてはいけないと思っている。 先の日記(『女…

「女の妄想を加速させる、宮本浩次という男」

放っておけない。それは、恋の始まりである。 エレファントカシマシのヴォーカル・宮本浩次を指して、“男も惚れる男!”と、ある番組で紹介されているのを観た。 男も女も惚れさせる男。果たして彼の、何がここまで人を魅了するのか。人々の心を惹きつけてや…