2016-02-16から1日間の記事一覧

依存症(東山彰良『ありきたりの痛み』)

「小説を書かなくてはならないのは、けっして幸せな精神状態ではない。アルコール依存症が幸せな状態じゃないのとおなじ意味で。」 東山彰良氏が『路傍』で大藪春彦賞を受賞したときの記念エッセイ『ありきたりの痛み』の中の一文である。 恋人と別れて、も…

心が動く(又吉直樹と星野源)

映画や音楽に涙が溢れて止まらない、みたいなことは私の中でしょっちゅう起こる。しかしこれが小説になると、なぜだかほとんどない。 そんな私が、読みながら思わず泣いてしまった。 又吉直樹著『火花』である。 「僕を嫌いな人達、笑わせてあげられなくて、…